体験記

奈良の旨いものと薬草漢方 ~2022年秋 みつきうまし祭りで楽しめること~

体験記

2022年秋に奈良で「みつきうまし祭り」が開催されます。奈良の食・酒、古代行事や歌舞音曲を楽しみ献上するという同祭典の中で、今年、THERA橋本真季さんによる薬草・漢方のイベントが開催されます。イベント連動型のツアーも企画されています。

奈良の薬草と薬膳の理解を深めたく、今回、真季さんに取材をさせていただきました。場所は近鉄奈良駅前の某喫茶店にて。

さとたけ:みつきうまし祭りの中で、真季さんが企画担当されているイベントについて教えてください。

真季さん:今回は、祭典とは別日に開催する2つのツアーと、祭典内のイベントを企画しています。

さとたけ:盛りだくさんですね。それぞれ簡単に、内容を教えていただけますか?

真季さん:そうなんです、盛りだくさんなんですよ(笑)。まず、ツアーの一つは奈良編。奈良時代の平城京は国際都市で、租庸調を通して日本中の、またシルクロードを通して世界中の特産品が運び込まれてきた。そういうきらびやかな物品の中に、薬草も含まれていたんです。今と同じように当時の人も健康への不安をみんな持っていて、薬草を生活の中に取り入れ始めていたんですよね。

※画像は各サービス提供者のウェブサイトより

ということで、奈良編のツアーは奈良時代の薬草文化を知っていただける内容なんです。遣隋使で知られる小野妹子の薬湯を受け継ぐ霊山寺さんで薬膳料理や薬湯を楽しんだり、早朝の奈良でピラティスや薬草サウナを体験したり、東大寺二月堂にて古代の奈良でどのような美味しいものが楽しまれていたのかお話を伺ったり。当時に楽しまれていた結解(けっけ)料理のお話も面白いと思います。他は、刃物で有名な菊一文字さんで日本初のうどんと言われている餺飥(はくたく)うどんも楽しんでいただけます。

さとたけ:菊岡漢方薬局さんのお話も聞けるのですね。

真季さん:そうなんですよ~。その他、興福寺さんやクレスコの暮部さんのお話も興味深い内容です。では次は、宇陀編ですが、こちらのテーマは「未病・無病・継承」。

さとたけ:未病・無病・継承。

真季さん:はい。飛鳥時代からずっと最新の医療をもたらしてきた宇陀ですが、未病・無病を目指した町へと変化してきています。今年に入ってからも、薬湯を売りにした宿が生まれ、本格的な薬膳カレーのお店が立ち上がりました。そういった、農林水産省に奈良県下で唯一のオーガニックヴィレッジとして認められた宇陀市の最新動向を肌で感じていただけます。薬草だけでなく、少し高級な人間ドック施設として有名なグランソール奈良さんにも訪問し、未病・無病についての様々な視点でのアイデアを持ち帰っていただけるのではないかと思います。

さとたけ:グランソールさんは、僕の薬草の先生であるクレメンツかおり先生が、料理も監修している施設ですね。

※画像は各サービス提供者のウェブサイトより

真季さん:そうですね。あとは継承。みなさん、葛粉と聞いたら真っ白な粉をイメージされると思いますが、あの粉を作るのってとんでもなく大変なんです。整備されていない山に分け入って深く穴を掘って葛の根を掘る苦労の後、それを精製していくプロセスも大変。そんな葛掘り文化についてもリアルに体験いただける予定です。自分で精製した葛粉と職人が精製した葛粉の違いを体験いただく場も用意しています(笑)。葛掘り文化の継承についても二日にわたってお伝えしていきたいと思います。

さとたけ:有名な今阪屋さんの薬草料理も楽しみですね。

二つのツアーの詳細はこちら(↓)より ※ロイヤルツーリスト様のHP

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さとたけ:ツアーがそれぞれ10/8-9(奈良編)、10/16-17(宇陀編)とういことですが、「みつきうまし祭り」の日程はその次の土日の10/22-23なんですね。

真季さん:はい。三週連続で大変なんですけど(笑)。この祭典では、テーマを「シルクロードウェルネス」とさせていただきました。

さとたけ:シルクロードウェルネス。

真季さん:はい。みつきうまし祭りは秋の平城京天平祭とも言うのですが、当時の平城京は先述の通り、とても賑やかな町でした。「あをによし」という言葉にもあるように国際色豊かで華やかだった平城京。しかし、そんな大都市の中においても、今と同じように疫病やその他疾患に人々は悩まされ、そして、彼は薬草を頼っていた。もちろん、祈祷やまじないも同じように流行っていましたが笑。その雰囲気を少しでも感じていただけたらと考えています。

具体的には、日本の薬草文化、お隣韓国の医学(韓方ハンバン)、アーユルヴェーダ、ウズベキスタン医学など、それぞれ詳しい方々に出店をお願いしています。会場が平城宮跡ということで、奈良時代の平城京の雰囲気に囲まれながら、国際色豊かな心身のケア手法を色々と見ていただける。そんな企画です。

さとたけ:すごい。奈良時代の再現ですね笑。

真季さん:ですね笑。

さとたけ:ところで、これらの企画にはどんな「意味や意義」があると真季さんは考えられてますか?

真季さん:では逆に質問しちゃうのですが、奈良だけが独自に持っている味や旨いものって、さとたけさんは何だと思いますか?

さとたけ:そうですね、例えばお隣の和歌山の魚介類や果実に比べるとインパクトは薄いけど、僕もやっぱり薬草って言いたいですね。ただ、なかなかそれだけでは主役にはなりづらい。

真季さん:うん、私も同じ気持ちです。飛鳥時代や奈良時代から行政や文化の中で育てられてきた薬草。その歴史と美味しさとを結びつけるところに、奈良が唯一の存在となれる面白さを描いていけるのだろうと思うんです。そういったコンテンツや商品を整備し、また、発信していくことを官民で一体となって進めていかないといけませんが、今回の祭りにおいてもそのメッセージを込められたらと思っています。

さとたけ:素敵ですね。かき氷の「ほうせき箱」を経営する平井宗助さんも、柿の葉茶専門店を立ち上げられましたもんね。柿は熱を取り、毒を出し、咳を抑える薬膳素材でもあるけれど、その葉を主役としたお店を立ち上げられ、素晴らしいの一言です。そこで提供されているかき氷もとても美味しい。

真季さん:ですよね。薬草漢方の町としてのコンテンツが、奈良にどんどん生まれてきていますよね。

天平祭のホームページはこちら(↓)より ※内容は随時更新

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さとたけ:真季さんも、本日は楽しいお話、ありがとうございました。ツアーやお祭りの準備も大変かと思いますが、頑張ってください!

真季さん:ありがとうございます。この記事をお読みの皆様も、ぜひ、ツアーやお祭りにご参加くださいね。楽しみにお待ちしております。

※ツアーやお祭りの最新情報はそれぞれ上記のホームページよりご確認ください。