ハッシュタグ「#奈良の薬草と薬膳」をつけてSNSに投稿しよう!
体験記

「茶寮 花大和」さんの薬膳日本料理

体験記

日本料理と薬膳の融合を図った上質な料理。ミシュランガイドにも掲載された実績がある同店だが、そのようなことをつゆ知らずに気軽に訪問し、その味の美しさに驚愕したお話しです。

2020年6月27日の土曜日。嫁さんと長男はどこかへ遊びに行くということで、ひとりでぶらぶらと橿原神宮前駅まで近鉄電車に乗っていきました。薬の町の高取町でぶらぶらしてみようかなと考え始めたら、まだ行っていない花大和さんのことを思い出し、電話で予約しました。橿原神宮前駅からバスで移動。

バス停からてくてくと、昔ながらの町屋の残る雰囲気の良い道を歩きます。しばらくして、お店の目の前まで到着。おや、オシャレな建物です。僕、短パン(七分丈)にTシャツやで。

落ち着いた店内には大きな窓が並び、そこから目の前の池を望みます。すごい贅沢な借景。女将さんが案内してくれて、昔、このあたりの家はみんな、お薬を丸めて庭先で乾燥させていたんですよ、と教えてくださいました。そうか、あの町屋はお薬屋さんだったんだ。

たまには美味しいお料理をいただくのも良いでしょうと3,500円のランチを予約しており、一皿ずつやってきます。まず、ラウンド1はお刺身と食前酒。お刺身をワイングラスに盛るという遊び心、歩いて火照った身体を冷ますお魚の温度、新鮮な鮪と鯛の香り。お醤油も葦の根(葦根)を漬け込んだフレーバー醤油。食前酒は紅花の入った軽いお酒。これは全身全霊で受け止めないと失礼だぞと思い、せめて背筋だけは伸ばしながら頂きました。紅花(活血化瘀類)のせいか、頭にも血が巡り始めます。

ラウンド2は薬味箪笥という欅(けやき)製の入れ物に乗せられた数々の小皿。なんという面白い趣向。たしか、薬を入れておく箪笥ですよね。窓から望む高取町の街並みとのマリアージュ。薬味箪笥に乗せられて運ばれてきたのは、鮎、ゴマ豆腐、お野菜の煮物、そして黒米のご飯。いずれもが香りをとても大切に調理されており、じっくりと味わいました。その中でも女将さんのお勧めは黒米のご飯。食べれば食べるほど若返るという最高品質の黒米を使っているようで、このご飯だけで食べられるほど豊かな味のご飯でした。もはや薬膳的な解釈をする余裕もなく全力で味わうモードに。

最後は、お野菜の天ぷら、お素麺、果物の流れ。野菜の天ぷらには大和当帰の天ぷらが入っていました。そう、このような野草の天ぷらは美味しいんです。しかもプロが揚げた一品。大和当帰の力で血を補ってくれるのでしょう。お素麺は氷に器が浮かんだ、これも可愛らしい造り。それまでのお食事で温まった身体を、平時の体温に戻してくれるかのよう。果物の上には枸杞子(クコの実)が乗っていました。保存料を使わないこだわりの枸杞子だと言う。また、この果物ですが、これから温かい室外に出向く客の身体を、メロンとスイカできゅっと冷まして差し上げようという趣向ですよね?

女将さんにお話を伺うと、例年だったら東京からツアーでお客様がたくさんいらっしゃるとか。でも分かります、その価値があるお食事でした。食事を終え、短パン(七分丈)とTシャツで元気よく高取町の街並みへと足を向ける私でした・・・

お店のホームページなどはこちらから

タイトルとURLをコピーしました