体験記

漢方・薬草ツアー2022年2月

体験記

株式会社ALHAMBRA(代表:橋本真季氏)が提供するツアー「~古代から現代、未来へ~ 漢方・薬草、健康の歴史文化の発祥地奈良ウェルネスツーリズム」に参加してきました。ツアーの様子と、ツアーから何が学べたのかを整理してみたのでご覧ください。観光コンテンツとしての奈良の魅力がますます形になってきたのではないかと思います。20名ほどの参加者は全員、ツアー前にウイルス検査キットでチェックの上、参加。

Day1-1 大和橘を学ぶ/収穫する

唐招提寺の講堂にて、なら橘プロジェクト推進協議会・城さんのトークからツアーがスタート。色々な社寺で大和橘の植樹が進んでいる様子を伺い知れた。同時に、関西で最も有名なパティスリーであるエス・コヤマからコラボ商品が発売されるなど、商品化にも力を入れられていた。唐招提寺から大和橘の畑まで散策を楽しみ、畑で橘の実や葉を収穫。株によって実の大きさも味も異なるのが面白い。大和橘は種に毒性がないため、実を口に放り込んでは、ほろ苦い甘みとリモネンのアロマを堪能。

Day1-2 akordu(アコルドゥ)のスペイン料理

ランチは奈良公園のほとりにあるakorduさんにて。奈良の薬草木をスペイン料理に取り込んだ素晴らしいコースでした。大和橘のお茶、大和当帰のベニエ(衣揚げ)。ネギと生ハムはトリュフで香りづけされた葛のソースをかけて。鱧は烏梅の風味を感じるジュレとともに。最後のメインはキハダの実で風味付けしたヤマトポーク。素人では思いつけないような味と香りの組み合わせを楽しませていただけました。

Day1-3 東大寺二月堂

普段は立ち入ることのできない二月堂の祈祷場所にて読経を拝聴した後に、別の講堂で院主の筒井さんよりお話の時間。かつての僧侶の役割に治水を含む建築/土木と病気の治癒が含まれていることを伺った。前者の治水は、水を得て健康的な生活を行えるための知恵。お寺の施薬院には薬草が植えられていたこと、戦争の時には医僧が戦場に出向いて行ったことなどをお伺いした。

Day1-4 薬草蒸し風呂(サウナ)

ANDO HOTELにチェックインした後に、ホテルの敷地内でサウナ空間に浸る。2月の寒空の下、IamSaunaさんの屋外テントサウナ(薪ストーブ)で温まり、冷水をかぶり、整うのループ。奈良の山の夜風を感じながら旅の仲間たちと語らい合った。

Day1-5 ANDO HOTELのディナー

奈良醸造さんの大和橘テイストクラフトビール「PHILHARMONY」で乾杯。ホテル内レストランTERRACEさんのコースがそれに続く。ランチのスペイン料理に対してこちらは和のテイスト。鱈の漢方焼き、おろしとキハダ実の蕎麦、などなど。和食のアロマが薬草木と混じり合って、自分の中の本能的な部分をくすぐられてしまう。驚きとため息のディナー。

Day2-1若草山山頂にてヨガ

旅の楽しい文章ばかりでだんだんと申し訳なくなってきたのですが、筆が止まらないのでお許しください。二日目の午前はヨガの体験。理学療法士の長い経験を持つヨガインストラクター町田ユカリさんに教わるヨガの時間。はじめは室内でウォームアップを行ったが、最後は若草山の山頂で奈良の朝の空気を吸いながら(+鹿と遊びながら)ヨガを体験。まさにWellness Tourism。

Day2-2 やまと薬膳ランチ@大安寺

奈良の中でも古いお寺である大安寺はがん封じでも有名。同寺にて祈祷を受ける。太鼓を用いた大きな音の珍しい祈祷だった。祈祷を受けた後に笹酒を一杯。その後、やまと薬膳で有名なオオニシ恭子さんのランチをいただいた。Day1の美食とは全く思想の異なる、別方向の美食。例えばニンジンのグラッセも塩しか使わず、ニンジンの甘みと油で調理するという。引き算の味付け。ひと噛みふた噛みと続けると素材の味を楽しんでいる自分に気づいていく。

Day2-3 月ヶ瀬の梅林と烏梅

日本でたった一人の烏梅職人、中西謙介さんを訪ねて月ヶ瀬へ。漢方素材、または染料、口紅の原料でもあった烏梅。その烏梅がどう日本で盛り上がり、そしていまは作り手が一件のみになってしまったのか。その趨勢を教わった。化学染料の普及により需要が激減したという。紅花と烏梅を用いた色付けを目の前で実演いただいて、かつての人々が愛した色味を目の当たりにできたことは貴重だった。

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真季さんのツアーにサトタケが参加するのはこれで3回目。ただ、今回は特に、その勢いを増していた。ツアーに迫力があった。このツアーの意味するところを以下に4点ほど整理したいと思います。特に、ウェルネス関連でお仕事をされている方には役に立つ情報なのではないかと思います。

Point1 行政も注目するトレンド事業

本ツアーは「奈良市観光コンテンツ造成補助事業」として、行政から補助を受けている。ツアー中になんと、奈良市長の仲川さんが視察/挨拶に来られていた。巷ではウェルネス/ガストロノミー/SDGs/エシカル消費等の言葉がトレンドとなっているが、今回のツアーはそれら全てに相性が良い内容となっている。簡単に言い換えれば、薬草と食・健康・文化をテーマとするサービスは今後もっと注目を浴びていくと言える。ツアーを通して、その可能性を実感できた。

【奈良市HPより】 魅力あふれる観光コンテンツがスタート

Point2 知を求めるユーザ向け

今回のツアーは少し価格帯が高めであった。しかし集まった人々はブランド品を身にまとうセレブという訳ではなく、知的なもの/経験を得られるものには少し頑張ってでもお金を払って参加するような顧客層だったと思う。食事中もその美味しさを解釈しながら、頭を使いながら味わっていた。知を求める人々が喜ぶコンテンツをより増やしていけば、そういった人々はより奈良を訪れてくれるのだろう。

Point3 ゲストが語るツアー

真季さんのツアーの特徴は、ゲストがよく喋ることだ。いずれも興味深いお話しなのだが、個人的には特に、仏教と薬草の関係が面白かった。少し間違っているところがあるかもしれないけれど、五明や五行という仏門の行いの中に医が含まれていて、お坊さんの日々の健康や病人の手当などに役立てていたのだろう。かつてのウェルネスに思いを馳せるのも面白い。

Point4 県外に誇れるコンテンツ

地域の魅力を考える際、地域外の人にも広く魅力を感じてもらえることが大事だと思っている。料理で言えば、県外の人にも美味しいと言ってもらえる料理。サトタケは仕事柄、国内外の色々な場所に行きそこで料理をいただくことも多かったのだが(今は在宅でフルリモート・・)、今回体験した食は県外/国外の誰にでも誇れる味覚であったと思えた。

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サトタケは現在、「奈良の薬草と薬膳」というFacebookグループを運営していて、参加者は1,000名を超えています(2022年2月現在)。

Facebookグループ「奈良の薬草と薬膳」

同グループを運営しながらも、本ツアーと同じようなことを感じていたことを思い出しました。奈良には県外に誇れるコンテンツが増えてきているし、グループの参加者は知的な方が多くお話しが楽しい。奈良のこれからが楽しみだなぁと思う次第です。